先日、ビルゲイツの著書『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる [ ビル・ゲイツ ]』を読みまして、ふと疑問に思い筆を執りました。
電車や車の車窓から山の方を覘くと、森林が切られてソーラーパネルが設置されているところがあるのを、よく見かけると思います。
それを見て、こう思った人も多いと思います。
『森林を切って、ソーラーパネルを設置したら、森林破壊で本末転倒ではないか?』
私もそう感じていました。
その点について、この本でもにわかに触れていますが、そこを拡大解釈して展開し、実際の違いを見ていきたいと思います。
※注 ビルゲイツ氏も仰っていますが、森林は大変大事なものです。発電量やCO2排出量だけで見るつもりはありませんので、予めご了承の上お読みください。
木が吸収するCO2ってどのぐらい?

これは簡単には測れないのもある様ですが、著書では
・1本の木が吸収するCO2は40年間で4トン
・木が燃やされたら、気に蓄えられていたCO2が大気中に全て出てしまう
・世界のどこに植えられるかで変わってくる。極圏では意味がない。
・その場所で他のものが植えられていなかったか?(相殺される)
こういったものを考慮しても、平均的なアメリカ人1人が一生のあいだに出す排出分を吸収するには、20haのも森林を熱帯地方に植えなければならない。
地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる [ ビル・ゲイツ ]
と、書いてあります。
これはアメリカの場合です。日本で見積もるといくらでしょうか?
年間の1人あたりの温室効果ガス排出量
今度は、全国地球温暖化防止活動推進センターの資料を参考にしてみたいと思います。

2019年の資料ですが、こちらを見ると、1人あたりの年間排出量はアメリカが14.5トン、日本が8.4トンとなっています。
日本はアメリカと比べて57.9%(8.4/14.5)の排出量になります。
再び必要な森林の面積に換算
アメリカでは1人当たり20haでしたので、日本人1人が一生に使う排出量を賄う為に必要な森林の量は、20ha×57.9%=11.58haと出ます。
感覚的に分かりにくいですので、11.58haを別なもので例えると、
東京ドームは4.7haですので、東京ドーム2つ半、
東京ディズニーランドは46.5haですので、東京ディズニーランドでは4分の1位、
となります。
重要なのは、これは、たった1人分です。
日本の人口は1億2500万人です。とんでもない広さの森林が必要です。
日本の陸地全てを森林にすると仮定して試算してみます。
日本の陸地の面積は3800万haですので、3800万ha÷11.58ha(1人分)をすると、328万人分しかありません。しかも日本は冬があり、冬は光合成がほぼ無くなりますので、実質はこの数字をはるかに下回ります。
太陽光発電ってどのぐらい発電するの?
次に太陽光発電の発電量を見ていきます。
熊本にメガソーラーを設置している、タイヘイテクノス株式会社様のページを参考にさせて頂きます。
こちらにはこう書いています。
1MWの発電所を設置するのに、1~2ha(ヘクタール)の敷地が必要になります。
設置場所、日射量等によって発電量は変わりますが、1MWのメガソーラー発電所で概ね年間100万KWh以上の発電量が見込めます。これは一般家庭約300世帯が年間に消費する電力量に相当します。
タイヘイテクノス株式会社
ざっくり1.5haで300世帯/年と仮定してみたいと思います。
日本人1人が一生に使う排出量を賄う森林の面積は11.58haと前項でみました。
これの面積を太陽光発電に使うとどのぐらいの発電量が見込めるのでしょうか?
11.58haを、メガソーラーの面積1.5haで割ると、7.66倍。
1.5haで300世帯分ですので、300世帯×7.66で年間2300世帯分の電気を起こすことが出来ます。
まとめ
話が、アメリカや日本など飛び飛びになりましたが、日本でまとめると・・・
1人が一生に排出するCO2を吸収するのには、熱帯地方に東京ド-ム2つ半分の森林が必要。
東京ドーム2つ半分の面積があれば、ソーラー発電で年間2300世帯分の発電が可能。
と、言うことになります。
単位に気を付けてください。片方は一生分。もう片方は1年分です。
どちらが良い悪いは一概に言えませんが、太陽光発電は思ったより効率的では無いでしょうか?
ただ、ビルゲイツ氏も仰っていますが、これ以上山を切り開くのは得策ではなありません。今ある場所で、太陽光が効率的な場所があるのであれば、それはそれで十分なエネルギー源に成り得るということです。
温暖化対策を考える為に参考にしてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んで頂きありがとうございました。
注)この試算にはソーラーパネルを設置する為のCO2排出量が加味されておりません。
試算って難しいですね。
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